「色柄を持たないパンツはく山崎すぐると、彼の担任の中村大悟」
~ すぐる・大学時代編 ~
5.塾講師・山崎すぐる
大学生になると同時に、すぐるは塾の講師の仕事を始めたのだった。それは、もちろん、お金を稼ぐためと
いう目的もあったが、それだけではなかった。大悟兄ちゃんみたいな数学の教師になりたいと考えるすぐるは、教える経験を早くから積んで行きたかったのである。
すぐるが担当しているのは、中学1年生・2年生の数学の集団授業。そして、高校2年生の数学の個別指導であった。理数系科目を教えられる人材は重宝され、その点では帝都理科大学・数学科に籍を置くすぐるも例外ではなかった。
月曜日は中学1年生の授業の日である。今日はこれから3回目の授業が行われる。塾へ出勤したすぐるは、その日の授業の内容を練り込んだり、プリントを作って印刷したりと忙しく過ごす。忙しくはあるが、「今日はどんな授業にしようかなー」とあれこれ考えるのは楽しいので、すぐるにとっては好きな時間であった。
授業の開始時間が近づいてくると、受講生たちが教室へやってくる。すぐるは授業の開始まで、彼らと雑談をしながら過ごすのだった。
5人の受講生は、偶然にもすべて男子であった。5人のうち3人(竹田くん,松川くん,杉山くん)が市立二中,2人(牛山くん,馬場くん)が市立三中の生徒である。学力的には中程度がそれ以下の生徒ばかりであったが、すぐるにはよく懐いていた。
「ねえ、先生、学校の宿題が全然わかんないから教えてよー」
竹田くんがすぐるに言う。
「あ、いいよー。宿題大変なんだねー」
「そうそう、すっごく大変で終わんないの。ちゃんとやってかないとお仕置きだしー」
それを聞いていた松川くんと杉山くんは、
「お前、今日もスタンプ押されてたもんなー」
「真っ赤なスタンプいっぱい溜まってるもんなー」
などとはやし立てた。
そんな2人を軽く諫めながらも、すぐるは、「あれ、どこかで聞いたことあるフレーズだなあ」と思った。 そこで、「その《 スタンプ
》って何なの?」と訊いてみると、
「お尻にバッチーンってもみじスタンプ押されるんですよー」
「そんなに痛くはないけど、恥ずかしいんだよな、あれ」
という答えが返ってきた。確信を持ったすぐるが、
「へぇー。君たちの数学の先生って、もしかして中村先生じゃない?」
と言うと、竹田くんたち3人は驚いた顔をした。市立三中で10年間勤務した大悟は、今年の4月から市立二中へ異動となり、竹田くん・松川くん・杉山くんのいる1年3組の担任となっていたのだった。
「ええー!そうだよ。でも、なんで分かったの?」
「へへへ、実は、先生の中1のときの担任も中村先生だったんだよ(^^;)」
「じゃあ、中村先生って、《 先生の先生 》だったんだねー!」
「先生が中学生の時も、中村先生は、もみじスタンプやってたんですか?」
「うん、やってたよー」
世代を超えて話題が盛り上がる。共通の恩師を持つというのは、いいものである。中学1年生男子の好奇心は尽きることなく、話はますます盛り上がっていった。
「でも、山崎先生ってスタンプ押されたこと無さそう! 頭良いし真面目だから」
「宿題忘れたこととか無さそうだもんねー」
「《 パンツ検査 》も合格してそうだし!(笑)」
すぐるは、図星をつかれて(笑)なんだか恥ずかしいような気持ちになっていた。そして、大悟兄ちゃんが今でもあのパンツ検査を実施しているということを知って、少し驚いた。
市立三中の馬場くんは、二中トリオの話を聞きながら、「もみじスタンプとかパンツ検査とか、なんかすごいなー」と驚いていた。だが、牛山くんはそうではなかった。3つ年上の兄が居て、中1と中3のときに大悟のクラスに所属していたのだった。そのため、もみじスタンプのこともパンツ検査のことも知っていたのである。結局のところ、馬場くん以外はすべて大悟のことを知っているということになる。
1人だけ蚊帳の外になってしまった馬場くんは、
「パンツ検査って何調べるんだよー」
と、素朴な疑問を口にした。
「生徒手帳に、白ブリーフを穿けって書いてるから。そんなの守ってない奴ばっかりだけど(笑)」
「え、じゃあ、ズボン脱いでパンツ見せなきゃダメなの?」
「そう! 恥ずかしいけど、男子しかいないし。トランクスだともみじスタンプ押される」
「ほとんど全員押されるよな。白ブリーフなんて、伊藤と森田と遠藤、あと竹田くらいしか穿いてないしな(笑)」
「うちの兄ちゃんの時もたまに抜き打ちでパンツ検査してたみたいだよ。1年の時だけじゃなくて、3年の時もあって、すっごい恥ずかしかったって言ってた。兄ちゃんはブリーフだから、合格だけど、みんなにブリーフ見られるし、お尻撫で撫でされるし」
「え、まじでー。牛山の兄ちゃんってブリーフ派なんだ!」
「兄ちゃんサッカーしてるから、ブリーフじゃないと落ち着かないんだって(笑)
オレはトランクスだから、母ちゃんはパンツ見分けるのが楽で助かってるみたいだよ」
「その中村先生って、厳しいんだなー」
「うーん、でも、すごく面白いんだよ。オレは好きだなー」
「馬場も一度体験してみた方がいいよ!二中へ転校してくるか?(笑)」
いつも宿題忘れてお尻を叩かれていることに加えて、白ブリーフ派であることを公言された形になってしま
った竹田くんは、顔を赤らめて恥ずかしがっていた。そのことに気づいたすぐるは、「今の中1だと、クラスに4人くらいかーφ(・・)メモメモ」と思いつつも、
「さあ、そろそろ授業しようか」
と切り出し、さっそく負の数を含む足し算や引き算についての説明を始めるのだった。もちろん、竹田くんのリクエストに応えて、大悟兄ちゃんの出した宿題にも一緒に取り組んでやることにした。そのお陰で、竹田くんが宿題忘れのもみじスタンプを押されることはあまりなくなった。
6.大悟兄ちゃんと米田教授
「おお、すぐる! 金曜の夜、一緒にメシでもどうだ?」
大悟兄ちゃんからの電話での誘いを快諾したすぐるは、約束の午後7時にファミレスへ到着したのだった。 だが、そこに大悟兄ちゃんの姿は無かった。
「なーんだ、まだ来てないのか。とりあえず、コーヒーでも飲んで待とうかな」
入店したすぐるは、パンを一切れと、おかわり自由のドリップコーヒーを注文して、パンをかじり、コーヒーを飲みしながら、大悟の到着を待っていた。
「もう15分も遅刻だー。米田先生だったら、完全にケツ定規だよね。まったく、兄ちゃんったら」
午後7時23分、少し息を切らせながら大悟が到着した。すでに入店して席に着いているすぐるを見つけると、連れである旨を店員に告げて、席へと向かった。
「すぐる、すまん! 遅くなったな」
「23分遅刻だよ! もう、待ちくたびれたんだから。これはもうお仕置きだよね」
「なにっ! なんだと! どうして俺がお前にお仕置きをされなきゃいけないんだ!?」
「だって、遅刻だもん。約束の時間を守ることは、自律への第一歩なんだよ(^^)」
「む、……仕方ないんだ。学校の仕事が忙しいのはお前も知っているだろ」
「言い訳は聞きたくないなあ(^^) 遅刻は遅刻だよねー(^^)」
大悟は、(畜生、こいつ図に乗ってやがるぜ)と面白くなかった。だが、遅刻したのは事実である。また、いつも、言い訳をするなと言っている手前、自分が率先して実行しなければ示しがつかない。
「ああ、もう、分かった分かった。家へ帰ってから潔く受けてやる。それでいいんだろ!」
「フフフ、楽しみにしてるからねー(^^)」
「……(畜生、すぐるのやつ)。 ま、とにかく腹が減ったな! 早く注文しよう」
運ばれてきた料理をせわしなく口へ運びながら、大悟はすぐるの新生活についてあれこれと質問するのだっ
た。
「塾の仕事、慣れてきたか?
教えるのは楽しいだろ」
「うん、中1の子たちがかわいいよー。大悟兄ちゃんのクラスの子たちみたい」
「お、そうなのか!
俺のクラスの生徒をお前が塾で教えてるとか、不思議な感じだな」
「竹田くんに、松川くん、それから杉山くんね」
「ふむふむ、あいつらか。あ、哲史( = あきふみ、竹田くんのことです )が最近ちゃんと宿題をやってくるようになったのは、もしやお前のお陰だな!」
「お陰かどうかわからないけど、宿題の質問には答えてあげてる」
「哲史は、すぐるのおかげで、宿題忘れのケツ叩きを回避というわけだな。謎が解けてスッキリだ」
「兄ちゃん、今ももみじスタンプ押してるんだね」
「ビシビシ行くのが俺のやり方だからな! 粗相があれば、ケツにバチーンともみじスタンプだ!」
そんな話を聞きながら、大悟兄ちゃんは相変わらずだなあとすぐるは思うのだった。そして、
(今日は大悟兄ちゃんのお尻にたっぷりもみじスタンプを押してあげなきゃ(^^))
と、心の中でほくそ笑むのだった。
「おい、何をにまにましてるんだ! そんなことより、大学での学業の方はどうなんだ?」
「なかなか楽しいよ。高校までの数学とは、全然違う感じ」
「講義にはちゃんとついて行けてるのか?」
「うん、なんとか。さすが、数学得意な人ばっかり集まってるだけあって、レベル高いけど」
「それは、まあ、数学科だからな。上には上が居るということだ! 切磋琢磨するんだな」
「代数学の先生が一番厳しいねー。米田先生って言うんだけど」
「お! そっか、米田さんお元気なんだなー」
米田の名前を聞くと、懐かしそうな顔をする大悟であった。大悟が大学生だったころ、米田はすでに帝都理科大学数学科で教鞭を執っていた。もっとも、大悟が大学へ入学した1984年には、米田の姿は無かった。それは、研究のための3年間のアメリカ留学の最終年にあたっていたからである。大悟が2年生になった年、
44歳の米田助教授は予定通り帰国し、再び講義を受け持つようになった。2年生のときから、〈 5年生
〉になるまでの間に、代数学関係の科目のいくつかを、大悟は米田から学んだのだった。
米田は当時から厳格な人物で、大悟も幾度か米田から尻を打たれることがあった。そのときの記憶が走馬燈のようによみがえり、大悟は、懐かしいような恥ずかしいような気持ちになった。
〔 番外編01 1985年、米田助教授の〈 代数学2 〉 〕
〔 番外編02 1989年、大悟の懇願 〕
「大悟兄ちゃんも、米田さんの講義受けたことあるんだねー」
「おお、あるぞ!
あの頃も厳しかったな。まあ、俺は、全部〈 優 〉だったがな、ガハハ」
「ほんとにー?(にまにま)」
「こら!
疑うんじゃない! この命題は、証明する余地もなく自明だぞ!」
「はい、はい、わかりましたよー。ボクも〈 優 〉取れるように頑張らなきゃ」
「すごい難しいぞ、まあ、やってみるんだな!」
大悟の言葉を信じたすぐるは、自分も兄ちゃんと同じように米田教授の講義で〈 優 〉を取ってやるのだと心に誓うのだった。
7.大悟兄ちゃんへのお仕置き
ファミレスでの食事を終えた2人は、家へ戻ると、さっそく母屋の大悟の部屋へと向かうのだった。
(大悟兄ちゃんの部屋、久しぶりだなあ。まあ、特に何も変わっていないけど)
部屋へ入ってすぐ、大悟は机に手を付き、ケツを突き出しながら、
「ほら、約束だからな。今日は、遅刻してすみませんでした!」
と言うのだった。その爽やかなまでの潔さに、すぐるはまた魅せられるのだった。
(フフフ、大悟兄ちゃんに謝られるなんて新鮮だなー。しかも潔くてカッコイイー)
などと思いながら、
「そうだよ!
1分につきスタンプ1つ、今日は23分の遅刻だから、合計23個、しっかり押させて貰うか
らね!」
と、すぐるは、大悟兄ちゃんへの初めてのお仕置きを宣告した。口に出して言ってみると、なんだか気恥ずかしくて、照れ笑いしそうになるのを必死に堪えるすぐるであった。
一方、大悟は、
(ああ、弟分にお仕置きされるって、こんなに屈辱的なんだな……)
と感じていたが、表へは出さず、
「はい! お願いします!」
と、はきはきした口調で応えた。
学校帰りそのままの大悟は、スラックスにカッターシャツという出で立ちであった。白いカッターシャツの袖口は、黄色や赤のチョークの粉で汚れている。〈
板書は見易く 〉がモットーの大悟は、濃くはっきりと
丁寧な文字で板書するのだが、チョークを黒板に強く押し当てるため、粉をたくさん散らすのだ。そして、スラックスのケツの部分には、もちろんブリーフラインが浮き出ていた。
そんな大悟兄ちゃん、いや、〈 中村先生
〉のいつもながらの姿を観察し終えたすぐるは、大悟兄ちゃんのケツから数センチのところへ平手を持っていった。あとは振り下ろすのみである。だが、いよいよ、兄ちゃんのケツを叩くのだと思うと、ドキドキしてしまい、鼓動が早まっていくのを感じた。
(いざお仕置きする時になったら、すごくドキドキしてきちゃった。落ち着かなきゃ……)
大きく息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。3セットを終えると、鼓動がゆるやかになってきた。今こそと心を固めると、すぐるはスタンバイしていた平手を振り下ろし、大悟兄ちゃんのスラックスと白ブリーフに覆われた雄尻の中央に、1つめのもみじスタンプを押印した。
(おお、なかなか力あるなー。さすが、高校時代に鍛えただけあるな)
大悟はそう感じたのだが、
「すぐるのスタンプは、気持ちいいな!」
と言うのだった。
(ん? 気持ちいいって、それじゃお仕置きにならないよ!
もっと強く叩かなきゃ…)
意識して、先ほどよりも強い力で、すぐるは、2つめのもみじスタンプを押印した。
「実に気持ちいい!
すぐるの才能だな!」
(え? まだ足りないのか。もっと強い力で……)
パッチーン,ペッチーン,バシッ,ベシッ,バチコーン,ベチコーン。3つめから8つめまで、合計6つのスタンプの一気押しであった。もちろん1つめや2つめよりも強い力である。
(おお、効くぜ……。こいつもなかなかやるな)
大悟はそう思ったのだが、口から出てきたのは、
「ちょっと効き始めてきたかなー」
という言葉であった。
それを聞いたすぐるは、
「9つ目からは、ズボンを下ろして押印しまーす!」
と告げた。もう、ズボンの上からでは限度だという判断だった。
これは大悟の想定通りの反応であった。弟のようなすぐるに、白ブリーフ丸出しのケツを叩かれるのは、やはり屈辱的な気もするが、どうせだったら徹底的にやられたいという思いもまたある。ズボンを下ろすことを促してくることをねらって、わざと挑発的とも思える反応をしていたのだった。
大悟は、ベルトをゆるめると、スラックスを膝の辺りまで下ろして、再び机に手を付いて、ケツを突きだした。
(大悟兄ちゃんのお尻、きれいな形で、プリプリしてて、いつ見てもいいなー)
よく穿き込まれて、すっかり身体に馴染んでいる白ブリーフに包まれた、大悟兄ちゃんのお尻を見て、すぐるはうっとりしていた。そして、己の白ブリーフの中の愚息が、少しずつ、ムクリムクリと大きくなり始めているのを感じた。
邪念を振り払おうとするが如く、すぐるはニコニコ(^^)ドラッグのレジ係になったかのように、スタンプ押しに専心する。
左ケツにひと~つ、右ケツにひと~つ、真ん中にひと~つ、左ケツのブリーフラインより下にひと~つ、右ケツのブリーフラインより下にひと~つ、再び左ケツにひと~つ、再び右ケツにひと~つ、最後に真ん中にひと~つ。
この間、大悟は言葉を発しなかった。すぐるも何も言わずにスタンプを押すことだけに専心していた。9つめから16個目までの押印は、静寂の中に打音だけが響く状況下で行われた。
スタンプ押しに専心した結果、すぐるの愚息はどうなったのかといえば、さらに大きさを増していた。白ブリーフの中に上向きに納められた砲身の先端は、スパンゴムのところにまで到達しようとしていた。
押印すべきスタンプは23個なので、あと7つが未押印である。すぐるは、それをどうやって押印しようか思案していた。これを逃せば、大悟兄ちゃんのお尻を叩く機会は、もう無いかもしれない。どうせなら、やりたいようにやってしまおう……。そして、すぐるの口からは、
「残りの7個は、膝の上で押します!」
という言葉が出たのだった。
「はい! 分かりました!」
威勢のいい応答が大悟から返ってきた。そして、椅子に腰掛けたすぐるの膝の上に、大悟兄ちゃんの重みがのし掛かってきた。
すぐるの右膝のところには、ちょうど大悟の白ブリーフが当たっていた。そして、すぐるは、大悟の白ブリーフの中の一物が、堅く大きくなっているということを、肌で知った。
(大悟兄ちゃん、叩かれるのも、好きなんだ……)
すぐるは、平手を振り上げると、白ブリーフに覆われた大悟のケツのど真ん中へ、渾身の力で炸裂させた。かすかにうめき声が聞こえたような気もしたが、大悟は、
「まだまだ~!」
と強がり続けていた。
左へバシーン,右へベシーン,真ん中へバッチーーン。18個目から20個目までは、一気に3連打であった。もちろん、すぐるの渾身の力であった。20個目のスタンプが押されたとき、今度は「ウッ!」とはっきりとしたうめき声が聞こえた。大悟は後悔したが、後の祭りであった。
(すぐるのケツ叩き、思っていたより威力あるぜ…。あいつもホント逞しくなったよなー)
決して口に出しては言わないが、すぐるの成長が嬉しくもある、そんな大悟だった。
「あと3発だね! 覚悟してね!(^^)」
すぐるは、最後の宣告を堂々とした。もはや、最初の緊張は完全に吹っ飛んでいた。
21個目のスタンプは、左ケツへくっきりと押された。大悟はまたもうめき声をあげそうになったが、必死で堪えた。
22個目のスタンプは、右ケツへ炸裂した。もちろん、すぐるの、出しうる限りの最大の力での押印である。それでも、大悟は〈 兄
〉としてのプライドを守るため、意地でもうめき声は出さなかった。
そんな〈 兄弟 〉の力比べも、いよいよ終焉のときが訪れた。
すぐるは、平手を高く高く振り上げると、
(さあ、これで最後だね!)
と心の内に呟いて、力強く大悟兄ちゃんの尻のど真ん中へ炸裂させた。
あれから十数分後、2人はコーヒーを飲みながら一服していた。
「もう、遅刻はしないようにしないとな!」
「フフフ、そうだね(^^)」
「他人事みたいだな! お前も遅刻したらお仕置きなんだぞ?」
「分かってるよー。ボクは自律が出来る人間だから、大丈夫大丈夫(^^)」
「お、言ったな! 今の忘れないからな!」
つい先日、米田教授の講義に遅刻して、お尻ペンペンの刑を受けたばかりだというのに、偉そうなことを言うすぐるであった。あるいは、あの件が、すぐるに〈
自律できる大人 〉としての自覚を持たせたのだろうか。
話題は再び、すぐるの学業のことへと移った。
「米田さんの講義、〈 優
〉取るんだろ?」
「うん、まあ、頑張るよ」
「成績が出たら、報告に来いよな!」
「ええ~~~、大悟兄ちゃんに見せるの?」
「なんだ! 不服か? お前は〈 優 〉を取るんだから、問題ないだろ?」
「……」
「決まりな! 楽しみにしてるからな(^^)」
「……。もし〈 優 〉じゃなかったら?」
すぐるは気がかりなところを訊いてみた。
「もちろん、そのときは、スタンプを押さなきゃな。〈 良 〉1つにつき1個、〈 可
〉1つにつき2個、〈 不可 〉1つにつき3個だ!」
「え? 他の講義も含めてなの? しかも、〈 良 〉でも押されるなんて厳しい…」
「つべこべ言うな! 米田さんの講義で〈 優 〉が取れるなら、他の講義は楽勝なんだからな! 要は、全部〈 優 〉を取ればいいんだ!
がんばるんだな」
「わ、分かったよ! ボク、全部〈 優 〉取ってくるから!」
勢いに任せてそんなことを言ってしまったすぐるは、後で自室へ戻ってから、
(あんなこと言っちゃって、いっぱい勉強しなきゃ……)
と、後悔しつつも心に誓ったのだった。